遊牧民の伝統文化が時代の奔流に押し流されていくなかで、遊牧生活しか知らない遊牧民の葛藤を描いた作品である。
遊牧地に漢民族が入り込み砂漠化が進む、遊牧しか知らない遊牧民は生活を断念して、次々と町へと移住して行くが、主人公はモンゴル帝国ジンギスカンの子孫であることを誇りに生きて行こうとする。だが自然は厳しく牧草のない草原は砂塵が舞う。生活は苦しくなるばかりで家族愛だけでは困難な道のりを強いられる。
遂に決断の時が、愛馬の白い馬をモンゴルの神聖なる草原に放し、たたまれたゲルはロバの荷車に乗せられ、親子は生まれ育った草原を後に町へと向かってゆくのである。
何処の国にもある農村部の都市化、これが時代の奔流と言ってしまう。それで片付けていいのであろうか。